管理、フー、雪とドキッ

2月の連休前、会社での出来事。


営業のミツイさんから、いつもの業務とは別の件で話しかけられる。


「ウチのミズホさんはどう?」


ミズホさんは、入社1年目にして営業のホープと言われている女性社員である。
もっと業務を学びたいということで、営業の仕事とは別に、前線の業務のお手伝いをしにきている。
(前線の業務とかお手伝いという言い方もヘンだが、ここでは仮にそうしておく)
その女性について聞かれたのだった。


「営業側として、(彼女に)何をしてもらいたいのかってことを、ちゃんと理解して(前線の業務のお手伝いを)やってくれているのか気になってさ」


『しっかりやってくれてますよ』


要は、「業務における基本知識はあるのが当然で、それでいて営業の仕事をやらなければならない」ということ。
で、上司として心配して?気になって?彼女の様子を聞きに来たに違いない。
別に、営業に限らずどこのポジションについていても、そうであるべきであるが。
自分の目からは、どうみても彼女はしっかりやっているので、そう答えておいた。


明くる日。
また彼女にお手伝いしてもらっている業務が巡ってきたので、いつものように声をかけに行く。


『お疲れさまです〜、これから大丈夫?忙しいんだったらムリしなくていいんだけど』
『あと今日はそれとは別に、5分くらい話したいことがあって』


「お話したいこと?あ、ちょっと作っておきたい資料があるんですけど、5分くらいですよね?なら大丈夫です」


そう、ミツイさんから聞かれた出来事を、ミズホさんに話しておきたかったのだ。


数分後、場所を移し、そのことを話してみる。


『・・・みたいにミツイさんは思っているみたいなんだけど、ミズホさんはどう?』


「そうですか・・・、そういわれるとまだダメかもしれないですね・・・」


『そっか、難しいならこのへんだけでも覚えておいたほうが・・・あれ?』


次の瞬間、彼女の目から涙が零れ落ちた。


「・・・あはは、ごめんなさい、最近涙もろくって」


『・・・大丈夫?なんかあった?』


「・・・ちょっと、いろいろ板ばさみが・・・ごめんなさい、こんな人前で泣く気なんてなかったんですけど」


彼女がここまで追い込まれていたとは。
個性的な営業の上司それぞれに、いろいろな指示をされて、それにしっかり応えていくというのは、かなりキツかったに違いない。
涙の理由は定かではないが、いずれにせよ、自分はそんな彼女を、更に追い込んでしまったのか。
相変わらずのバカっぷりを発揮してしまった。


『・・・なんかツラいことがあるなら、いつでも言ってきてね』


そんな言葉と、彼女の肩を軽くポンポンと触ることしかできなかったけど、彼女は微笑みながらこう答えてくれた。


「化粧を崩してしまった、あはは、すみません、ホントありがとうございます、今度飲みに連れて行ってくださいよ(笑)」


仕事をしていると、「自分が一番キツい」とか、半端な自惚れによる勘違いをしていまうことがある。
でも、みんながんばってる人はそれなりに似たような経験しているものなんだと改めて思う。


がんばっている女性の力になれて、その女性の心の拠所になれて、それに見合う男になる


柄にもなく常に思っているけど、一生かけても辿り付けるのかな、その理想像に、ホント。
フー、険しい道のりだよ(笑)


あ、雪だ。
柄にもなくこんなこと書いてしまったから、空がビックリしちゃったな。