忘れ物

自分には小さい頃よく遊んでいた2人の女の子がいた。


一人は、「あやちゃん」という女の子。
年齢は1つ下で、一戸建ての借家に住んでいた。
弟とそのお友達、あやちゃん、そして自分。
近所に住んでいた4人は、自分がガキ大将になって、いつも夕方まで遊んでいたっけ。
しばらくして、あやちゃんは、同じ学区内の、小さい頃にしてみれば少し遠目の借家に引っ越した。
でも自分はその遠くへ、一人ででも歩いてでも遊びに行っていた。
特に何をした覚えとかもないけど、一緒にいるだけでなんだか楽しかったのだった。
ドラゴンボールをやっていたんだったかな?


その後、あやちゃんは家の都合で、小学校の低学年のうちに、「サイタマ」という遠いところへ引越していったのだった。
その数年後、仙台の遊園地であやちゃんの両親と偶然再会したのだったが、あやちゃんとは会うことがなく、さよならの言葉さえ言わないまま、それからもう二度と会うことはなかった。


もう一人は、「ゆみちゃん」という女の子。
幼稚園の時に、同じ教室で、当時、手のつけられない悪ガキだった自分に対しても、とても優しかった、大人びた女の子だった。
ゆみちゃんの家は近所のアパートで、お家に遊びに行くと、当時発売されて間もないファミコンで、チャレンジャーというゲームをやって遊んでいた。
ゲームが全然うまくやれない自分に、手本を見せるように、スイスイとクリアしていくゆみちゃん。ゆみちゃんともまた一緒にいるだけで楽しかった。あのとき飲んだカルピスの味はまだ覚えている。


小学校になると別々のクラスになり、ゆみちゃんと遊ぶこともなくなり、ゆみちゃんは小学校2年生を待たずに、知らず知らずのうちにどこかへ引っ越してしまったのだった。


かれこれ20年も前の話だけど、あの頃から恋らしいことはしていたんだね自分。
あの頃は、ホント楽しかった。
悪ガキで野心があって自惚れやでバカ正直な自分で。


それからそれなりに成長してきたつもりが、
すごくたくさんの大事なものも置いてきたんだなぁと。


たまに行ってみるか、あの頃へ、忘れ物をとりに。