アウェイ・ランナウェイ

朝の話。


いつものように満員の電車に揺られながら、電車を乗り換え、そろそろ会社の最寄の駅に着くという頃。
疲労と眠気からか、一瞬だけ我を失い、気がつくと降りるべき駅を通り過ぎてしまっていた。


出勤途中での乗り過ごしは初。
最近は少し早い時間に出勤しているため、遅刻の心配はない。
ただ、朝のムダなロスは回避したい。
ということで、すぐ次の駅で逆方向へ向かう電車に乗ろうと急いだ。


逆方向へ向かう電車は、都内でも最も混んでいる電車の一つ。
「この出勤ラッシュの時間帯、果たして乗れるのかどうか」
ちょっと心配になりながら、とりあえず上りの電車のホームへ向かう。


ちょうど出発のベルがなっている。
ふと車両を見ると、人一人くらいは立てるスペースがあったので、急いで乗り込む。
とりあえず、なんとか乗ることができた。
運がよいのかな。
ただ、ちょっと急いで乗り込んだからか、近くの女性の乗客数人から視線を浴びてしまったようだ…
でも、まぁぶつかって強引な感じで乗ったわけではない。
「まぁいいか、すみませーん」と思いながら、戻りの電車内で一息つく。


ホッとしつつ、無事乗れことに安心したのも束の間。
先ほどの「視線」の理由を思い返す。
妙な違和感を覚えた。
…何かおかしい。何かがヘンだ。
その理由はすぐにわかった。


自分は、女性専用車両に乗っていることに気付いた(爆)


うわぁ…(汗)
アセがヒアセへと変わる。


女性に囲まれるのは嫌いではない。
でもこの空間にいるのは最悪な気分だ…
満員の女性専用車両に揺られながら、これほどまで時間が早く過ぎて欲しいと思ったことはなかった。


さらに運が悪いことに、乗り過ごした駅の降り口は逆側。
ホームに降りるには、満員の女性を掻き分け降りなければならない。
ドアが開くと、もはや犯罪者のオトコは逃げるように改札口へ向かったのだった。


不幸中の幸いだったのは、何も乗客からは言われなかったことか。


ふぅ、エライ目にあったなぁ。
とりあえずこの話は、次の朝礼の出番の際に、うまく仕事のことと絡めて話すことにしよう…